ここ数か月書きたいことはたくさんあったのですが、体調が振るわなくて体力温存のため熊の冬眠のように巣ごもりをしていました。お腹の痛みは一向に治まらず、仕方なくエコー検査に行ったのですが、結果、“お腹に腫瘍のようなものがある“と言われＭＲＩの検査を更に受けるように言われました。ただでさえ仕事を休みたくないと思っていたのに、指定された病院がなんと、先日コロナ専門病院に指定された都立広尾病院でした。一番避けて通りたかった所に、よりによって行かされる羽目になるとはなんて運のよいことなのだろうと自分のくじ運に感動しました。担当の先生には一応、毎日朝から勤務している総合病院が検診施設併設なのでそこでＭＲＩ撮影をしたいと希望して都立広尾病院に行くことに抵抗を試みはしたのですが、
「病院の機器の精度と画像を読影する人がそろっていないから。」
とあっさりと却下されました。数年前にも「お腹の中が血だらけ。」と脅されて都立広尾病院にＭＲＩ撮影に行っているので、地下に撮影場所があるなどの勝手は知っているので便利ではあるのですが、この時期に行くとは何という巡り合わせなのかとやや落ち込みました。
当日、予約時間よりもやや早く受付に行き手続きを済ませました。新型コロナの患者らしい人がいないか、それとも周りにいるひとはほとんどが新型コロナ感染症患者なのか？と思いながら、待合室をぐるっと見回したのですがごく普通に年配の方が間をあけて長椅子に座っていました。勿論病院の入り口では体温測定をしますが、高熱の人はいなく、咳をする人もいなく、なんか拍子抜けしました。いつもと違うと言えば、座れない人もいる位の来院数がざっと見て4分の１位に減っていることくらいでしょうか。高熱や肺炎症状のある重症な患者が押し寄せて騒然としているのかと医師である私でさえ想像してきたので、整然としすぎて逆に経営は本当に大丈夫なのかなと思ってしまいました。まあ都立ですから、うちのように個人で補助もない所とは違いますけれども経営者の端くれである私としてはとても気になってしまいました。
さて、ＭＲＩの撮影をする時にいつも考えるのですが、自分が死んで棺桶に入って火葬場で焼かれる時はこういう感じなのかなと。閉所恐怖症でもないのですが、30分間筒の中に独り身動きできずにいるのはやはり苦痛であります。無事にＭＲＩの撮影を終えた後は緊張が緩んだこともあって食欲が出てきました。同じ地下に食堂があるので廊下を歩いてゆっくりと移動してたどり着くと、12時前でもありましたがお客は老夫婦1組だけでした。きつねそばを頼んで座り、がらーんとした食堂を見ると、いつも賑やかな場所に人がほとんどいないというのは自分の記憶の中にあるイメージと照らし合わせて、やはり異様な感じがしました。知らない人同士でも程よく席が埋まっていて温かいそばやＡランチなどをごそごそと食べている、その賑やかさは有難いことなんだなと思いました。仕方なく黙々とまだ固形物が食べられないので、そばの汁をゆっくりすすって食堂を後にしました。
病院はよく年配の方たちのサロンになっていて、「今日は〇●さんが来ていないな。病気だから来られないんだな。」なんて会話がなされれているというジョークがありますが、確かに独りぼっちで家に居たら人恋しくなって、病院に行けばいつもの面々に会えるかもしれないと思って出向いてしまうという気持ちが今回良く理解出来ました。今は仕事があって、スタッフや患者さんと必然的に話をしますが、もし辞めたら、独りで家に居たら誰とも話すことが無い自分の老後も想像してしまいました。今回の新型コロナが蔓延して、マスクをしてなるべく会話をしないようにしてソーシャルディスタンスと言って距離をとる、このことは孤独を更に加速させていますよね。この孤独の影響、色々と出てくるでしょう。極端な場合は孤独死です。なんか心配になりました。見えないことは放置されがちですかですから。
