新型コロナウィルスの変異種が見つかって、デンマークで毛皮用に養殖しているミンク1000万匹が殺処分されました。デンマーク首相が涙ながらに謝罪をしたり、世界最大の毛皮オークション会社は数年後に廃業をすることを発表したりと様々な波紋が広がっています。
ミンクの毛皮は私も持っています。動物愛護が大きく叫ばれてから毛皮のコートを身に着けるのは憚られるようになってきましたが、それでも毛皮の肌触りはたとえ技術が高くなったとはいえフェイクのものとは全然違いますので、困ったものだなと思います。着る時には本物をフェイクと言うこともあります。
子供の頃、母親がミンクのコートを着て外国製の香水を身に着けた時、自分も早く大人になってそれが似合う女性になりたいと憧れをもって見つめていました。そのため毛皮は高級品で、ある意味のステータス、特別の時間に身に着ける夢の時間を感じるための贅沢品として摺りこまれているので手放し難いのです。サロンで何着かコートやショールが出されて、オスとメスの毛の肌触りの違いや皮のなめしの違いなど手入れの方法も含めて説明があり、ゆったりとしたラウンジでお茶を飲みながら専門家から「毛皮は命を頂くのですから一生ものです。」という話に耳を傾けていました。最近はそういう買い物の仕方さえもなくなってしまい、購入してからネットで検索するという味気にものになりました。どんな店頭にも並べられて、セールで売っていたりします。まるで、スーパーの特売のようです。今回のコロナの事で毛皮産業は一気に衰退するだろうと言われていますが、そのほうが良いかもしれません。そもそも命を守るための防寒具としてつかっていたものがやがてファッションにまでなったのですから、軽く温かいコートは毛皮でなくても今ではたくさんあります。わざわざ命を殺めるために大量に養殖しなくても良いと思います。
ネットで、ミンクの記事のところに、
“動物の死体の写真が掲載されています。ショッキングな写真の為、閲覧にはご注意下さい”
と書かれてありましたが、私は避けて通れないなと思い写真を全部見ました。写真は、ケージの中にいる目のぱっちりした可愛いミンクの姿や、殺処分されて棚に仰向けになって並べられている様子、ショベルカーを使って土に埋葬されるところなどです。最後に、“ミンクの呪い”という写真は腐敗した遺体から出るガスによって一旦埋葬したミンクの遺体が押し上げられて土の上に出てきた様子などです。これを見た時、やはり得も言われぬ嫌な気分になりました。こういう犠牲のもとで、華やかなフェンディなどの毛皮のファッションショーを楽しんでいたのが思い出されて、心がチクチク痛みました。私は聖人君主ではないので、明日からベジタリアンになりますとは言いませんが、もう少し気を付けようと思いました。自分自身も後数十年、もしかしたらコロナで突然亡くなるかもしれませんが、やがて土に還り何らかの植物が育ったりする栄養素になるのですから、それまでは無駄をしないようにしますので、ちょっとだけ、神様許してください、と思いました。