クリニックには発熱外来についての依頼が東京都から来ていまして、今年は新型コロナとインフルエンザのダブルで覚悟しなければと思っていましたところ、お隣の韓国ではとんでもないことが起きています。
韓国ではインフルエンザワクチンで死亡者が次々に出ています。「スカイセルフ4価」というワクチンで同一ロット番号のワクチンは15万程生産されているとのことで、国民の不安が高まっているとのことです。まあそうでしょう。原因不明で1日に4~5名死亡とは普通ではないです。原因としては、保管の仕方という事です。通常は製薬会社の生産段階から接種まで冷蔵保管しなければならないのを、流通会社は当該ワクチンを冷蔵車で各地域に移して再配分する過程で常温に露出したという事です。ワクチンは常温に露出すれば蛋白質が変性して効果と安全性に問題が生じるのですが、通報によって分かったというお粗末さでした。韓国政府は新型コロナのこともあり、例年よりも多く追加して接種計画を立てて知多のですが、この問題によって接種が中断されて、問題となるワクチンの検査に2週間かかり、万が一全てを廃棄ということになれば、追加生産や輸入は出来ない為かなり窮地に立たされているようです。
韓国でのインフルエンザのワクチン接種ご2日目で17歳の男子生徒が「だるい」と家族に倦怠感を訴えて亡くなったそうです。
これは他人事ではないです。インフルエンザワクチンではないですが、日本国内でインフルエンザ治療薬の「タミフル」での事故は有名です。特に10代の男性がインフルエンザ発症後2日位で高所から飛び降りて亡くなることが何件も起きました。今年はそれに乗じてでしょうか、インフルエンザ治療薬の「イナビル」の注意喚起の書面がわざわざピンク色の用紙でクリニックに届きました。
【就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多い】
【発熱から2日以内に発現することが多い】
異常行動の例では、突然立ち上がって部屋から出ようとする、興奮して窓を開けてベランダに出て飛び降りようとする、人に襲われる感覚を覚え外に走り出す、突然笑いだし階段を駆け上がろうとする、自宅から出て外を歩いていて話しかけても反応しない、変な事を言い出し泣きながら部屋の中を動き回る、などです。
私の友人の子供は、高熱の出ている時に、あれやこれやと話し始め、熱が下がったときにはそのことを覚えていなかったそうです。
この異常行動は治療薬のせいなのか、インフルエンザでの高熱のための脳炎のせいなのかは未だ原因がはっきりとしていません。しかし、情報共有して命を守らなければなりませんので、あらゆる症例を集計して注意喚起が出されているのです。
予防としては、玄関などすべての部屋の鍵を確実に施錠するとか、1戸建てであれば1階に寝かせるというもので、高所から飛び降りる危険性を回避するように就寝中注意するのが大切です。
何年も接種が行われているインフルエンザワクチンや治療薬でさえもこのように問題が幾つも起きて亡くなる人がいて、未だにその原因が解明されてない訳です。まして、新型コロナウィルスの治療薬やワクチンは緊急開発されて治験も少ないままで承認されていきますので、ここはやや慎重に考えなければなりません。勿論どんな薬でも恩恵とリスクはあります。しかし、特にここ半年のマスコミが煽った新型コロナウィルスへの恐怖感で、むやみにワクチンを打てば大丈夫だと単純に考えないで欲しいのです。自分の体質や置かれている状況などを総合して、ワクチンを接種するかどうか、政府が進めるからではなく、自分が本当に必要とするのかどうか、自分の判断で最終的決定をして欲しいと思います。
以前、子宮癌の予防接種で何人かの人に重大な副作用が起きた事は記憶に新しいと思います。もし何か起きて、政府や薬品会社が保証をしてくれたとしても元に戻るものであればよいですが、機能回復が無理だったり、死亡という事が万が一あればどうにもなりません。
体調がいまいちとか、なんか無視の予感がするといった些細な事でも、気が進まなければ一旦引き下がるのも勇気です。