お騒がせトランプ米大統領が15日ペンシルベニア州で有権者との質疑応答で
「新型コロナのワクチンが4週間以内に準備出来るかもしれない。」
と発言したそうです。その数時間前にFOXニュースでも
「4週間か、8週間かかるかもしれない。」
と述べたそうです。11月の大統領選で優位に立つため、ワクチンを急いで承認するように政府の医薬品規制当局や科学者らに政治的な圧力をかけている疑いもあります。
通常ワクチンの開発には5~10年かかります。一般的な流れとしては、まず、動物実験、
人間に対する臨床試験、第1段階は十数人に少量を投与、第2段階は数百人に通常料を投与、第3段階は数千から数万人に投与して有効性や安全性を確認して薬事申請をして承認となります。
なかには他の感染症に対して開発していたものを新型コロナウィルスのワクチンとして転用しているものもありますので、いきなり第3段階からスタートという事になったりで一概には言えなく、このような場合は開発期間を短縮出来ます。
日本国内で新薬が使えるようになるためには、厚生労働省による承認が下りる必要があります。開発に着手して、開発を進めて、審査に通る全体の時間は、日本がおおよそ4年、欧米よりも時間がかかっています。この日本でも使えるようになるまでの時間差を“ドラックラグ”と言います。このため、日本での新型コロナのワクチンは早くて来年の春?となる見込みが言われていますので、海外で開発したワクチンを確保する方が早いわけです。そのため、イギリスの製薬会社【アストロゼネカ】と日本も手を組んで国内で臨床試験を始めていたのですが、重い副作用が起きて一時中止となり、先日再開されたという経緯があります。順調にいけば、イギリスでは秋から冬に供給開始が見込まれていました。日本での実用化は安全性を確認したうえで、厚生労働省の薬事承認を受ける必要があります。それではかなり遅くなってしまうので先程述べました、“ドラックラグ”を短縮する加速平行プランを厚生労働省も打ち立てて早期実用化に向けて頑張っています。
通常であれば、研究、臨床試験と進み、薬事申請をしたと同時に生産体制整備をして、承認が下りると生産供給を行って接種開始なのですが、今回は研究と臨床試験がほぼ平行というか同時進行に行われ、申請する前の臨床試験で既に生産体制に入り、承認と同時に接種開始という、今迄の時間で言えば臨床試験が終わるかどうかというあたりの時に接種が始まっているという異例の速さです。
安全性を疎かにしてはいけませんが、これを機に他の新薬の承認にも加速がついてくるのではないでしょうか。そうなると、立ち遅れていた日本の医療の負の部分も世界レベルに達するという怪我に光明、万事塞翁が馬、瓢箪から出た駒という事もあり得るので、悪くはないかもしれません。
1日でも早く安心できるためにワクチンが世に出てきて欲しいです。しかし、それが完璧で完全とは思っていません。インフルエンザも昔は薬などなく、「玉子酒でも飲んで汗をかいて寝ておけ。」という感じでした。そのうちにインフルエンザの予防接種が始まり毎年「当たった」「外れた」と騒いで、タミフルを飲んで飛び降りる副作用があるだのリレンザを吸うだのラピアクタを点滴するだのと次々に治療薬がでて、「ゾフルーザは1日で治る」と感動していると副作用が出て慌てる、という具合で何年にも渡って様々な経過を診ながら進化しています。おそらく新型コロナはかなり賢いウィルスらしいですから、姿を次々に変えては挑んでくるでしょう。それに対して我々は常に振り回されながら付き合っていくしかありません。数か月前にも言ったように1種類の治療薬で治るという訳にはいかないでしょう。エイズウィルスを元にしているという噂もありますから、新型コロナウィルスの特性として最低3種類の薬を混合して治療していくことになるのではないでしょうか。