新型コロナウィルス対策について、厚生労働省に助言する専門家組織と政府の分科会は第2波と言われる流行のピークは7月末として、一人の感染者が何人うつすかをあらわす実効再生産数は8月上旬の時点で多くの地域が1を下回り、感染は縮小しているとしています。勿論だからと言って、もう大丈夫という訳ではありません。引き続き今までと同様の警戒が必要なのです。秋には第3波も来るかもしれませんし、インフルエンザとダブルで襲い掛かってくるかもしれません。こう次々と恐怖を煽っていると、それに過剰に反応して様々な事が起こっているようです。
当院眼科が主ですが、最近「マスクをずっと着けているので口周りの皮膚が炎症を起こしている」という訴えが多いですし、「消毒液で頻回に手を消毒しているので荒れてしまった」、という患者さんも多いです。イランでは、アルコールを飲めば新型コロナウィルスの治療に効果があるという噂を信じて、700名以上が死亡しているようです。飲んだアルコールがエタノールだけであれば大丈夫だったのですが、悪徳業者が工業用のメタノールを混ぜたため、メタノール中毒で吐き気や嘔吐、腎不全や視力障害を起こし視力を失った上に、最悪な場合は死に至る人も多く出たのです。イランは多くがイスラム教信者で宗教的に飲酒は禁止のため、病院を受診することになっても、飲酒をしたことを容易には話せず、それが重症化して死亡の原因にもなっているようです。
さて、エタノールとメタノール、たった1字違いですが、身体に及ぼす影響は雲泥の差があります。まず、エタノールは芳香がありお酒の主成分で、飲みすぎなければ毒性はないです。強い殺菌性があるので消毒に良く使用されます。燃えやすい性質がありますので、燃料としても使用できます。対して、メタノールは同じアルコールでも飲むと吐き気やめまいなど数々の障害が出て、死亡することもあるのです。絶対飲んではいけません。また揮発性が高くて引火しやすいので扱いも注意しなければなりません。では、エタノールに軍配が上がったところでもう一つ。
既にご存知の方も多いかと思いますが、“酒は百薬の長“と申しましてほどほどにたしなむとむしろ健康に良いとされています。フランスはワインが有名ですが、心臓病での死亡が少なく、その原因を探っていくと、赤ワインを1日グラスに1杯飲んでいるというのが原因らしいと統計で分かってきました。お酒のアルコールが適度に緊張感をとりストレスを解消して身体全体の血流が良くなっているのは以前から分かってはいたのですが、ブドウのポリフェノール、それも赤ブドウの皮の内側についている赤い色素のポリフェノールがどうやら血液をサラサラにし且つ細胞のアンチエイジング作用に貢献しているようなのです。1日1杯赤ワインをどうぞ。けれども、イタリア人の友人から聞いたのですが、日本での輸入ものの2000円以下のワインはほとんど薬剤を使用してブドウの成分をいっぱいいっぱいに抽出しているので、内容は砂糖水のようなもので悪酔いしやすく、薬剤のアレルギーなどを引き起こしやすいので、出来たら高級とまではいかなくても良いワインを選んでくださいとのことでした。