世の中はマスクの話題が花盛りです。アパレル会社は洋服に合わせたマスクを売り出したり、スポーツ関連の会社はマスク機能を重視して宣伝しています。夏の高温や高湿度に対応する夏用のマスクがそろそろ出て来ました。以前のブログにも書きましたが熱がこもって熱中症の原因になったりしますので無理をしない程度で着用の方をお勧めします。今回はマスク着用のリスクには「高炭酸ガス血症」もあることをお伝え致します。
千葉科学大学危機管理学部の黒木教授が
「マスクで息苦しくなったりするのは熱中症ではなく、呼気に含まれる二酸化炭素がマスク内に溜まって、それを吸い込むことで起きる「高炭酸ガス血症」であるケースのほうが多いと考えられる」
と話されています。血中の二酸化炭素の濃度が高くなり重症化すると呼吸困難や昏睡、死に至る不整脈などを起こし急死することもあるようで、怖いですね。以前中国河南省で亡くなった15歳の男子はマスクを着けてランニングをしていましたが、その時の気温は20度位で熱中症を起こすほどではなかったようです。やはり別の要因と考えるほうが自然ですね。とにかく、ほどほどにするのがベストです。前にも言いましたが、マスク自体がウィルスを完全に防御するのではないのですから、息苦しいと感じたらマスクを外して新鮮な空気を吸ってリフレッシュしましょう。
あと、最近手洗い消毒やうがいも日常になっていますね。手洗いに関しては通常の石鹸を使用している方は問題ないのですが、私のように職業的にアルコール含有や次亜塩素酸などの消毒液を何回も使用する人は手の皮膚が荒れて逆に炎症が起こりやすい状態になってしまっている場合もちらほら見受けます。これも本来の目的とは違った方向になっているので要注意です。手を休められる夜には保湿のクリームを塗って保護しましょう。
マスクや手洗い消毒の文化が根付きそうな勢いですが、お金に関しても”現金に触りたくない” という意識が広まってキャッシュレス決済が進んでいるようです。確かに、自身のクリニックでも衛生上の問題だけでなく、現金払いだとおつりを用意するために定期的に銀行に両替に行かなければならず、ある金額以上であれば両替手数料が発生します。小銭を1円5円10円と分けておかなければならないですし、現金を受け取った後銀行に入金するまで保管しておかなければなりませんから安全の意味でもキャッシュレスは有難いといえます。そのうち本当にコインとかお札が消滅するかもしれませんね。
東京の京浜東北線では車掌が常務しないワンマン運転を2024年をめどに始める方向にしたそうです。小さい列車であればそれほど珍しくはありませんが、都心の路線としては初めての試みです。少子化で人口も減っていきますし、人との接触をより減らしてリスクを避ける意味でもこういう方向へは加速していくでしょうね。かなり前から居酒屋やカラオケでのオーダーはiPadで行うようになっていましたし、スーパーは一部自動支払機が設置されるようになりました。
私なんかはいつものお店で買い物をするときにちょっとした挨拶や日常の話をするのがショッピングの楽しみの一部と思っていた人種ですから寂しい気がします。しかし、そういう簡略化された時代に新たに生まれて暮らす世代は他を知らないのでこんなものだと思いそれがスタンダードになっていくのでしょう。4000年続いてきた馬車が主流の時代を我々は知りません。生まれた時に既に自動車がありそれが当たり前の世界で暮らしているからです。でも自動車なんかはせいぜい100~200年前に世の中を闊歩し始めた新参者なのです。ここ数か月の緊急事態宣言での間、道路を走る車の量が急激に減っていました。それに従って交通事故も空気の汚染もかなり減って良かったのですが、夜中特に静かな道路を目の当たりにして違和感を覚えました。慣れとは本当に不思議なものです。いつも見えたり聞こえたりするその存在を無意識に待っているのです。
今迄の話の内容は医学用語としては「愛着」が近いのではないでしょうか。この概念としては、“特定の対象や物に対して形成する情緒的な結びつき”とされています。子供の頃、母親などの周囲の応じ方が基本的な人間形成の基礎となり、知的や心身の発達に影響を及ぼすというのです。悲しい実例としては、子サルの実験で、作り物の母サルに対して愛着を形成した子サルは、お乳が飲めないという飢えよりも作り物の母サルへの肌の接触を求めた、ということです。このように誤った環境や習慣は悲劇を生むことがあります。次の世代の為にもコロナをきっかけに健康で幸せにいられるような習慣に向かっていきたいものです。