今回JCHO東京COVID山手メディカルセンター呼吸器内科部長徳田均氏の仮説である
「COVID-19重症化の謎とマイクロバイオーム関与の可能性」を読ませていただきまして凄く感銘しましたので内容を簡略化してご紹介いたします。(かなり簡略化しております)
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新型コロナウィルス感染症(COVID-19)は今迄の感染症のように、抗菌剤(抗ウィルス剤)の服用だけでは収まらない不思議な特徴を持っています。通常、感染者は軽度の咳などの症状があってから抗体が出来て1週間位で治ります。ところがコロナは2割位の人が急に重症化して死にいたるのです。悪化のリスクとしては高齢、糖尿病、高血圧、心臓病、腎臓病、肥満です。突然の肺炎で命を落とすのに肺の基礎疾患は意外と少ないのです。あと、重い嗅覚、味覚障害も合併することが多く凄く奇妙なのです。最大の問題は何故重症化する人が出るのかです。100年前のスペイン風邪も新型インフルエンザも重症化には細菌感染が関係していましたが、コロナの場合はサイトカインストームと言われる本来病原菌から身体を守るシステムが暴走して死の原因になっているのです。この暴走を抑制する為に免疫抑制薬を治療薬として試しているのですが、感染症に免疫抑制薬を使用するのは通常ではありません。
ここに来ての“何故重症化するのか?”に対して“マイクロバイオーム学”を取り上げてみます。
高齢;加齢とともにマイクロバイオームが大きく変化する。
高血圧;高血圧の成り立ちにマイクロバイオームの関与の可能性がある。
肥満;糖分や脂質の過剰な摂取によってだけでなく腸のマイクロバイオームの変化。
乳児期の抗菌薬の過剰投与はマイクロバイオームの変化による肥満の原因とされているのは有名。
BCGの効果;BCG接種国では発症率、死亡率が低いことが世界的に注目を集めている。BCG接種を受けた人は自然免疫が訓練されていてウィルスに対する抵抗性が高い可能性が言われているが、一般的にワクチンの効果は10年以内と言われているので、数十年前にBCG接種を受けた人が恩恵を受けていることを説明するにはマイクロバイオームの考えを導入すると可能かもしれない。それはヒトのマイクロバイオームは3歳までに完成して終生大きく変わらないからである。
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このマイクロバイオームという免疫は母親から生まれる時に産道の膣からと母親が出
産するときに漏らす便からによって得られるようです。ヒトのDNAは99.9%が同じです
が、マイクロバイオームの構成つまり皮膚や口や鼻や膣などにある細菌の数や種類は一
つとして同じものはないので、その多様性によって体質があり病気への反応も色々とい
う訳です。
成程と思いました。同じ親から生まれた兄弟であっても、たとえ一卵性の双子であっても体質が違っていたのはこういう事かもしれない、と凄く納得できる理論でした。新型コロナウィルスによって導かれた説です。今回のコロナは本当に今迄の常識を覆すことが多く起こった為に世界的な規模で混乱を招きましたが、こうした論説が出てくることによって新たな問題が起きても柔軟に対処出来るのではないでしょうか。
この“マイクロバイオーム”覚えておいてください。これを一般生活で応用するとしたら発酵食品を積極的に食べることです。
あと最後の方に徳田先生が“コロナの治療に関して
”ハイリスクの患者には症状出現の1,2日以内に抗菌薬の投与で重症化予防効果を研究してもよいのではないだろうか。“
と書かれています。耐性菌対策のため抗菌薬の濫用を気にしてごく短期でと念押しをされています。
これに対して、私も賛成です。コロナもインフルエンザも重症化する前のごく初期に抗菌薬や抗ウィルス剤を投与して重症化させないというのがみそだと思います。4日も待っていたらやばいのです。初めの2日が重要だと思います。極端に言えば感染して症状が出た48時間以内で生死の分かれ目がほぼ決定するのではと思います。