「先生、お薬何日分ですか?」
受付のスタッフがわざわざ診察室までやってくる。
私がカルテの記載もれをしたからだ。
「先生、図には左眼に傷がありますが、目薬は右眼の点眼になっていますけど…」
左右間違えて記載することもある。
カルテは公文書なので修正テープでピピッと直すわけにはいかない。
慌てて二重線で消して訂正印を押す。
パソコンが普及してから、漢字を思い出せないことが多くなった。
時間が無いのでとりあえず病名をひらがなで書いておく。
おそらく同じ思いを患者さんもしているのだろう。
病気で余裕が無いけれども何か書かなければという
気持ちと相まってなのか、問診表は実に不思議な文字や
文章が書かれていることが多い。
”検康診断で”→”健康診断”
”白内症の目ぐすりしている”→”白内障”
”血膜炎になった”→”結膜炎” 目が赤いからか?
”癌底出血しているかも”→”眼底出血” 重症度は同じ?
”以前、盲膜ハクリの手術をした”→”網膜剥離” 見えなくなる恐怖から?
”子供の目が指に入って…”→たぶん”子供の指が目に入って…”
”他の病院でもらった目薬をずっと飲んでいたがきかなかった。”
まあ効かないでしょう、点眼しなければ。