もう10年位前ですが、両親とイタリアへ旅行しました。
以前から計画していたものではなく、母が突然電話してきて
「1週間の休みとれる?」とたずねたので、「5日間ならなんとか。」と返事をすると
「いつ?」と矢継ぎ早に質問され、2日後に日程が決定したのでした。
その頃私は友人からイタリア語を習っていてそのことを母にチラリと話したら
母は私が通訳として役立つと勘違いしたようで連れて行くことを勝手に決めたらしいです。
当の私のイタリア語レベルは簡単なあいさつと数字などの単語が言える位で
母の思惑を知らず、ただ両親との旅行を単純に喜んでいました。
しかし、実際の旅行となると途中の乗り換えで「パスポートがない。」と騒ぐ両親。
バチカン宮殿の前で法王を一目見ることが出来るかもしれないという時に
「トイレに行きたい。」と騒ぐ両親。
なんとか夜はローマの予約していたホテルに無事着きました。
マリア・カラスがオペラ座の公演が終わると、地下室でつながっている通路で
部屋に戻っていたという由緒正しいホテル・・・のはずでしたが、
まず、木の扉のたてつけが悪く完全に閉まらないうえに鍵がこわれている。
フロントに言うと、「鍵なんてかけなくても大丈夫でしょう。」と言う。次に、
私の寝るエキストラベッドのマットには数ヶ所穴があいてバネが見えていたのでした。
次の日、朝食をいただく「ウィステリア(藤)」という藤棚のあるサロンは
こごえそうな位寒くて、大きなテーブルにパンとフルーツが少しのせてあるだけ。
気分はどんどん落ちてゆきましたが、南のナポリへ向かうにつれ夏のような陽気さで、
今回の最大の目的地『ポンペイ』に着いた時は気分を取り直していました。