無事入国手続きをすませてから、広大なシカゴ空港を
ひたすら歩き続け、ギリギリなんとか乗り換えの飛行機に間に合い
ワシントンD.Cへ。
散歩によく来ていたポトマックでの桜は、すでに散っていて
マグノリアの花が満開でした。
2日目、父が以前勤務していたNIH研究所の所長さんが
特別に軍基地内のレストランに招待してくださいました。
その時、すでに所長さんは御年96歳。
米国の生き字引のような方で、湾岸戦争から帰還したばかりの軍服姿の男性が
廊下ですれ違う度に皆敬礼していました。
さて、毎年ノーベル賞候補を輩出してるNIH研究所ですが、
興味津々でどういう基準やタイミングで選ぶのか質問してみました。
「今日みたいにここでランチをしながら、初めに世間話をするのさ。
その中で、何階のラボで面白い研究をしているやつがいるという話が出たら
『今回はそいつにするか』となるんだよ。」
目の前に、直径30cmはある円形プレートにびっしり並べられた
クラブサンド(1人前)を1切れつまみながら答えて下さいました。
やはり、人となりも雑談のうちにつかめてくるそうで、
食事などリラックスしている時に話すそうでした。
「ところで食事は楽しんでいるかい?
ここはデザートもおいしいんだよ。」
数分後に握り拳大のアイスクリームがのった20cm大の
ホットアップルパイがやってきました。
一生懸命食べている私の肩を所長さんはポンポンとたたいて語りかけました。
「ここに住んで、君もノーベル賞をとってみるかい?」
凡人の私はアメリカンドリームをつかむ前に、
おそらくなんらかの成人病で早死にするなぁ…と思いました。