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安楽死

“ALS嘱託殺人事件”とでかでかとニュースに書き立てられていましたが、この話題をブログで取り上げるかどうか多少悩みました。というのは、私自身、この安楽死というものをまだ不勉強な上、個人的には反対でも賛成でもない,

“時と場合による”

という実に曖昧な意見を持っているからです。医者の立場からしたら、勿論、命を助けるという使命の元に医療行為が許可されているのですから日本国内ではいくら相手に求められようとも行ってはなりません。しかし、不治の病に侵されて苦しんでいる人を目の前にすると、何か助けてあげたいと思うのが人情でしょう。今回の事件として取り上げられている内容としては、SNSで知り合い、“お金を受諾してビジネスとして行った”とか“行った医師が医師免許を不正取得の可能性”などどこまでが真実かは分かりませんが、なんとなく深い闇が潜んでいるような感じです。過去にも何回かこのような事件が起きています。思い出すのは、末期がんの患者さんに主治医として寄り添っていた医師が安楽死をほう助した事件で、その細かな経緯を読み進むにつれて自身がその立場に居たらもしかしたら同じことをしていたかもしれない、誰もが成り得る可能性があるとその時は感じました。

日本は法律で安楽死は認められていません。死の定義も実は無いに等しく、法律できちんと定められていません。死というものがタブー視されているためだからだと思います。国が変われば、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スイス、カナダ、アメリカの一部の州では安楽死が認められています。オランダなどでは死因の4%が安楽死です。もし自国が認められていなく希望していた場合は唯一スイスが外国人を受け入れています。費用の相場は渡航費と宿泊費用を含めて、およそ150~200万円程です。これが高いか安いかは分かりません。こういうところに行きつきたくはないですが、人間何があるか分かりません。一つの情報として知っておくことも大切だと思います。

安楽死の話が上る度に、私は森鴎外の「高瀬舟」を思い出します。森鴎外自身が医師でしたが、晩年に近い1916年の作品でご存知の方も多いと思います。

内容は、ある流刑者の話です。高瀬舟とは島流しにされる罪人を乗せ京都と大阪を流れる高瀬川を下り上がりする船の事です。その船に乗っていた喜助という30歳の罪人は弟殺しをしたということですが、手当の2百文(約5千円)を持って実に晴れやかな表情をしているのです。一緒に乗った同心(現在で言う警察官)が彼に問うと、

喜助は「今までこんな大金を手にしたことがなかった。」と。

喜助は幼い頃に両親を亡くして、病に倒れた弟をかばいながら働き続けていました。ある日帰宅したところ、弟が兄に楽をさせようと自分で喉を剃刀で掻き切って死に切れていない状態でした。それを目の当たりにした喜助は覚悟をして弟が楽になるようにと、喉元の剃刀を引き抜いて死に至らしめたのでした。

この短い小説には、貧しさと安楽死の2つのテーマが描かれています。貧しさと病に追い詰められ一般的には罪と言われることを起こしてしまい通常ならば、罪人となって恥を凌ぐ不幸と思えます。しかし、個人の捉え方でいかようでもあるのです。そうして更なる問題は、果たして他人がそれを杓子定規で裁いて良いのでしょうかということです。100年もの前にも既に同じ問題を抱えて提示されていたのです。

 

肉体的な痛みや精神的な苦しみは究極的には本人にしか分かりません。それが密やかに沸々と溜まっていったら、不幸な事が起きても不思議ではありません……….と思ったかどうかは分かりませんが、とにかくですねストレスは溜めない方が良いです。

地球の反対側にあるブラジルでは、新型コロナウィルスと最前線で闘う医療従事者にマリファナ抽出成分を投与してストレス軽減を測る臨床実験に乗り出しているそうです。

さすがのお国柄、考え方がぶっ飛んでいますね。

健康のために休ませるという考えはないようです。言い方は悪いですが、

“みんなのってるかい? ヘイ!そこの彼女、コロナが怖いなんて言ってないで。今晩もハッパでキメて仕事を夜通し頑張ろうぜい。”

ということを推進しているのです。

医学的には癌や緑内障、てんかん、喘息など数多くの症状緩和に効果があるとされていますし、かって日本でも覚せい剤が「ヒロポン」と呼ばれて麻薬が合法だった時代がありましたから無茶な話ではありませんが、現在の日本では考えられないですね。

しかし、もし日本でも合法化されたら、オンラインでストレス度を入力して申請すると政府からハッパがビニル袋に入れられて郵便受けに2人分届いたりして。コロナで一気に変わった世の中ですから、ありえないことはないかもしれません。

 

 

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